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2009年09月02日

●ジャコビニ流星群

望遠鏡流星のことを書いたところ、意外なほどのRESをいただきました。
今回はそのコメントで話題になった「ジャコビニ流星群」について・・・。

ジャコビニ流星群は、10月8日頃に観測される流星群です。
毎年出現する定常群ではなく、不定期に活発な活動が見られることから突発群の代表的なものとして知られています。
ただ、最近では、非常に少ないながらも毎年観測されるようになり、突発群から定常群への移行過程にあるともいわれています。

通常、流星群の名称は「ペルセウス座γ流星群」とか「ふたご座α流星群」のように、輻射点のある星座の名前を冠して呼ぶことが多いのですが、この群は伝統的に母彗星の名前をつけて呼ばれています。
母彗星はGiacobini-Zinner彗星といい、周期6.6年で太陽を回っています。
彗星の軌道と地球の軌道が公差する際に、軌道上にばらまかれたチリが地球の大気に突入して流星群として観測されるわけですが、毎年見られる流星群と異なり、軌道上に満遍なく流星のモトとなるチリが分布していません。
そのために、流星が見られる年と見られない年があるわけです。
名称については「りゅう座γ流星群」とも呼ばれますが、今年開催された天文学の会合で、「ジャコビニ流星群」も「りゅう座γ流星群」も正式名称ではなくなりました。
正式名称はまだ議論の余地がありますので、この記事では便宜的にジャコビニ流星群の名称で書いてゆきます。

突発出現と書きましたが、正式に記録されている最初の出現は1933年です。
北米やヨーロッパで流星雨と呼べる規模の出現が見られました。
このときに撮影された写真には無数の流星が写っていて、子供の頃初めてその写真を見た私は、一生のうちに一度はこんな流星雨を見てみたいと強く思ったものです。
1946年にも顕著な出現が観測されました。

1972年には、日本で大出現が見られることが早くから予測され、日本中が狂奔する騒ぎになりました。
私も一晩中起きていましたが、東京では薄曇りで流星は見られず、天候の良かった東北北部や北海道でもほとんど出現はありませんでした。
ただ、当時の「天文ガイド」の同好会誌紹介欄に、「ジャコビニ流星群出現?」という記事が掲載されており、「チカチカと線香花火のように数個まとまって飛んだ」とのことでした。
真相は不明ですが、妙に印象に残る記事でした。

SFY08L55.GIF

1985年には日本で比較的盛んな活動が観測され、1998年にも短い時間でしたが、活発な出現が見られました。
その日、プラネタリウムの仕事を終えた私は、自宅に帰るとすぐ自動稼働しているHRO(流星の電波観測)の画面を見ました。
何となく予感はしていたのですが、画面はたくさんのエコーで埋め尽くされていました。
外に出ると、雲量8程度と観測できる状況ではありません。
弱い冬型だったので、平野部へ行けば晴れていると思い、車を飛ばしました。
池田山の麓まで行くとけっこう晴れています。
流れの速い雲の隙間に頻々と流れる流星は、雪が舞うようなふわりとした印象で、ポロポロと崩れていくようなプロフィール。
出現数は1分間に数個~10個程度でしょうか。
速度も遅く、通常の流星とはかなりイメージが異なります。
この日は結局、晴れ間を求めてあちこち移動しながら見たわけですが、まともに観測できたのは後半の30分ほどで、その後は急速に終息に向かいました。

次回は、2011年にヨーロッパでの出現が予報されています。
近年、流星群の出現予報はかなり正確になり、なかなか大番狂わせはないのですが、半日出現がずれて日本でも観測できるといいなあと、かすかな期待を抱いています。

画像:当日のHRO画像。右端のバーがエコーの強度を表しています。

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コメント

こんにちは。

HRO画像というものを、初めて見ました。流星に疎くてすみません。
気になったのでネットでも調べてみました。
ナルホド、これは面白いですね。(グラフみたいなものが出てくると、無駄に喜びます)

流星を予測するというのは、ひと昔前ではかなり難しかったそうですね。
しし座流星群のときに、D.アッシャーさんの話を直接聞いて、
時代は変わったもんじゃのう、と思いました。
そのうち、ISS予報くらいの精度で、
「今日はどこで何時何分に何個くらい飛ぶ」というような、
流星予報ができるんじゃないでしょうかね。

ogawaさん、こんにちは。

HROの画面、たしかに普通はあまり見る機会はないですね。
右端の強度バーに対応して、黒い画面の1.2kHzのところに青やピンク色のモヤモヤが見えますが、それが実際の流星エコーです。明るい流星ほど鮮やかなエコーになり、火球クラスの流星になると何分間もモヤモヤが画面に記録されます。あ、時刻は左端に出てますヨ。
ジャコビニ群はしょぼい流星が多いので、画面はちと寂しいのですが、しし群やペルセ群だとロングエコーが多く賑やかな画面になります。
ただ、飛行機のエコーも記録されてしまうので、飛行機が多い地域や時間帯は観測になりません。
機会があれば他の画像もお見せします。

流星群の出現予測は、ダストトレイル理論の導入によって、革命的に進歩しました。
ただ、主として彗星からの放出速度と摂動で計算されるダストの空間分布予測には誤差がつきまといますので、今のところは百発百中というわけではありません。

そういえば、前にもお話ししましたが、今年のレオニズは要注意みたいですよ。
11月17日前後は仕事を休んで観測態勢を整えておいた方が良いかもしれません。

ああ、今回は難しいことばかり書いてしまった。
二流の天文解説書みたいですみません!

今年のLeonids極大は18日の午前6:40頃と聞いていたので、薄明バリバリでダメじゃん…と思ってたのですが、なんかあるんですか?
あるならおじさん頑張っちゃうゾ~。

akapiさま

ご無沙汰でございます。

レオニズ大出現?の話は、今のところ、ごく一部の天文屋さんしか話題になっていません。
以前にこのブログにも本件は書いたことがあります。
以下に一部を抜粋します。

* * *

そして来年は、1466年にテンペル・タットル彗星が放出したダストトレイルの中心部を地球が通過することがわかっています。

そのために、1時間に500個超の流星雨が見られる可能性があるのです。

今のところ、活発な出現が見られるのは、日本時間で11月18日の6時40分前後と予報されています。

中国が最も適した観測地となるのですが、予報の前後数時間は活発な活動が続くと見られていますから、日本でも18日の未明、1時間あたり数百個の流星雨が見られる可能性があります。

2001年同様、来年も邪魔な月明かりはありません。問題は天候だけというわけです。

以前はあまり当たらなかった流星群の出現予測は、ダストトレイル理論の研究によって非常に当たるようになってきました。

ということは、かなりの確率で来年、流星雨が見られる期待が高まっているのです。

* * *

・・・ということで、中国ではかなりの確率で流星数が増加するはずです。
ただ、ダストトレイルの幅は現在の理論では確定することが難しいため、2001年に日本で見えた流星雨のように、長時間大出現が継続するかは何とも言えません。
2001年大出現と同様の幅の広いダストトレイルであれば、夜明け前に地球がダストトレイルに突入する可能性もありということです。
もちろん中国に行って観測すれば、より流星雨に遭遇できる確率は高まります。

ただ、あくまで予想ですから、どのように行動されるかは自分の判断で、ということですネ。

天文現象は見られなくて当たり前ですが、幸運の女神はリスクを冒した者のみに微笑むということもakapi先生はよくご存知ですよね。
(まあ、私たちの場合は、昔からリスクを冒しても幸運が訪れないことがほとんどでしたが・・・式根島・・・伊豆ヶ岳・・・)

というわけで、私は極大前後は休みを取ります。
空振りに終わる可能性が高いと思いつつ、晴れ間を探して幸運の女神のハートをつかむつもりです。

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