●理系時代小説が新しい!
仕事が一段落し、少しですが読書に時間が割けるようになりました。
少し前にこのブログで、五十嵐貴久さんの「2005年のロケットボーイズ」がお勧めだということを書いた折、この作者の時代小説もなかなかええですぜ、とakapiさんよりコメントがあったのを思い出し、読んでみたところ実に堪能しましたので、皆様にお勧めがてら紹介させていただきます。
akapiさんのお勧めは「安政五年の大脱走」でした。
井伊直弼の身勝手な欲望から脱出不可能な岩峰の頂上に幽閉された姫と家臣たちが、あらゆる策を講じて脱出を図る物語です。
追いつめられた人間の知略と危機管理、幕府側との間に交わされる人情の機微、苦労人であるにもかかわらず自らの権力と欲望を制御できなくなってゆく井伊直弼の弱さ、それらが知恵と美貌を兼ね備えた姫のひたむきさを軸にして絡み合い、最後はこの作者らしく爽やかで科学的な論理性の上に昇華してゆきます。
akapiさんのお勧めどおりの作品で、久々にワクワクしながら時代小説に読み耽ってしまいました。
この作品に喚起されて、もう一冊、2008年1月に刊行された「相棒」を読みました。
幕末、15代将軍徳川慶喜を狙撃した犯人を探るため、なんと坂本龍馬と土方歳三が手を組んで捜査を進めるストーリーです。
海援隊の坂本龍馬、そして新撰組の土方歳三といえば、一方は革新的な視点で日本の未来を見据え、一方は「最後の武士」として新撰組という武力集団を束ねた、どちらも時代が産んだ天才として人気を二分する人物です。
どう考えても相容れないこの二人が相棒となったらどうなるのか。
あとは読んでからのお楽しみですが、この種の小説にありがちなうわついた調子や歴史考証の曖昧さがなく、荒唐無稽な設定でありながら緻密なプロットとなっています。
爽やかな読後感を与えてくれるのも他の作品同様。
五十嵐貴久さんは「自分は全くの文系である」と書いていますが、これまで読んだ三作品に共通するのは精細な科学性と論理性です。
今回紹介したのはどちらも時代小説ですが、理系趣味である天文屋さんにも堪能できる「隠れ理系作品」ですから、ぜひぜひご一読いただけると嬉しいなと思います。

コメント
こんにちは。
理系時代小説ですか!
私Hは、カールセーガン博士のCOSMOSを読みました。ただ、DVDもあるのでそちらも見ました。
また、小説?物語?の
スタートレック指揮官の条件
を読んでおります。これは、スタートレックネクストジェネレーションというアメリカの宇宙探索を24世紀に繰り広げられたTVをご存じでしょうか?(私H的にはVOYAGERが好きですが!)
中でエンタープライズD号艦長のジャンリュック・ピカード艦長の(N艦長でわありません残念ですが!)艦長日誌、恒星日誌、艦長私的記録をまとめた本です。
ほ〜ん! by.絵描きのN
これがけっこう観てますと自分も自然にエンタープライズで宇宙探索をしてるような気がします。
是非、見たって下さいな。
C-14黒カセのH
Posted by: C-14黒カセのH | 2009年04月14日 14:32
カール・セーガンの「COSMOS」は、将来にわたって語り継がれる傑作だと思っています。
セーガン博士の優れたところは、天文学者という理系分野の最先端に在りながら、非常に細やかで情緒的な文章とエンターテイメントを駆使できる才能を持っていたことでしょう。
その意味ではセーガン博士は「文系天文学者」の雄だと私は思っています。
というか、優れた天文学者の多くは、文学者としても才能を発揮している人が多いのです。
そのうちブログ本編で、そうした「文系天文学者」の紹介をさせていただきますね。
Posted by: まっちゃん | 2009年04月14日 19:14