●オリオン座大星雲あれこれ
オリオン座がきれいに見える季節となってきました。
1等星を二つも含むこの星座は、星座の中央部に「オリオン座大星雲」という肉眼でも確認できるガス星雲があることでも有名です。
オリオン座大星雲は、宇宙空間の濃い水素ガスの集まりで、鳥が羽を広げたような形をしています。
通常、こうしたガス星雲は非常に淡くて、写真には写りこそすれ人間の目で見ることができるものはほとんどありません。ところが、オリオン座大星雲は三ツ星の下に肉眼でもちゃんと見えますし、望遠鏡を使えば、空の明るい街中でもぼんやりと輝く姿をしっかり見ることができるという、文字通りの「大星雲」なのです。
星雲の中心部では、盛んに星が生まれています。ハッブル宇宙望遠鏡などによる画像では、生まれたばかりの星がガスの中で輝いているようすがはっきりとわかります。
実を言えば、オリオン座の主な星は、ほとんどがこの星雲の中から生まれてきたものです。
肉眼で見える星の中で生まれ育ちが異なるのは、赤い1等星のベテルギウスだけ。他の星は、どれもがオリオン座大星雲から生まれ出て、長い年月をかけて宇宙空間に拡散していったものなのです。
このオリオン座大星雲、眼視や短時間露出の写真では、三ツ星の下に小さく映ずるだけですが、長時間露出の写真では、オリオン座全体を包むように広がっていることがわかります。
その意味では、オリオン座そのものが、この星雲から生まれ出た巨大な散開星団ということができます。地球からの距離が非常に近いために、明るい星を多く含む星座として見えるわけで、もう少し遠くからオリオン座を眺めたら、ちょうどプレアデス星団(すばる)のように、明るい星がバラバラと集まった美しい星団として見えるはずなのです。
写真は、20cm屈折望遠鏡で撮影しました。
写真では赤く映りますが、眼視では目の感光特性から赤くは見えず、青白、もしくは青緑色に見えます。
よく「最高に澄んだ夜空の下ではわずかに赤く見える」などという人がいますが、人間の目は水素の波長が出す赤い光に感度がまったくありませんから、これは根拠のない思い込みということになります。
眼視で青白く見えるのは、酸素の出す輝線を見ているためです。
私は、眼視で見る青白いオリオン座大星雲の方が、透徹した冬の夜空に似合っているようで好きです。
それにしても、澄んだ夜空の下、大きな望遠鏡で見るこの星雲は圧巻の一言に尽きます。
空の暗い公開天文台へ行かれる機会があったら、心ゆくまでこの星雲の複雑なディテールを楽しんでほしいと思います。
