●カオナシを飼う・・・?
ウチの猫部屋に「てぃび」という猫がいます。今のところいちばんの新入りです。
とはいえ、もう一年ほど経つでしょうか。私が仕事の帰り、まだ子猫だったてぃびが足元にまとわりついてきたのです。
ちょうど「マーブル」という猫が、腎不全で死んだばかりでした。まとわりついてきた子猫は茶色のサビ模様だったのですが、マーブルも同じく茶色のサビでした。マーブルの生まれ変わりのような気がして、私はその子猫を保護することにしたのです。
ただ、マーブルとてぃびは、見かけこそ似ていたものの、中身はだいぶ違っていました。
賢く優しかったマーブルに対して、まだ子猫ということもありましたが、てぃびはかなりのおばかだったのです。おばか、というよりは、精神的に子供のまま進歩しないという方が正しいかもしれません。
その上、野良経験がそうさせるらしく、とにかく食べること食べること。他の猫の餌までぜんぶ食べてしまいます。
当然、肥ります。もともと頭が小さいこともあって、おなかだけが肥え太った姿は「千と千尋の神隠し」に出てくる「カオナシ」そのもの。
もと野良猫は、多かれ少なかれ飢餓経験から過食傾向が出ることは確かなのですが、てぃびは極端でした。制限しなければいくらでも食べてしまうのです。
てぃびは可愛いとはいえません。というより、可愛くないから捨てられたのでしょう。
その上、大食漢でおばか。
「こんな猫、飼ってくれるのはウチだけだね」
娘がてぃびを見つめてそう言います。
そう、ウチで飼っているのは、さまざまな理由によって捨てられた猫ばかりなのです。
今のところ、いいところのないてぃびですが、ウチで保護しなければ今頃は生きていないだろうと思うと、カオナシのようなその姿も、なんとなく愛しいものに見えてくるから不思議ではあります。
