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2008年09月19日

●詩「歳月」

古い木乃伊のある床の間から
うつろい始める
雨音
寂静。

崩れかけた肩のあたり
歳月がほのかにまつろい
黒褐色に寂びた眼差し
深化してゆく時の添景

沈んだ会話が傍らを流れ
こぬか雨
畳表のかすかな香り

閉じた障子戸の内層で
何かが緻密に分解し続け

僕と木乃伊の距離感に滑りこんでくる
秋の印象
傾斜してゆく
冷えた静けさ

(1986年10月11日作)


*昨日に続いて昔の詩です。
昨日が「ゆうれい」だったので今日は「木乃伊(ミイラ)」ということで・・・。

床の間に木乃伊が置いてあるというシチュエーションからしてヘンですよね。
でも、静まり返った床の間に木乃伊が安置してあるのって妙にしっくりくると思いませんか。
ここは「骸骨」ではダメだし「ゆうれい」では軽すぎるし、やっぱり木乃伊かな、という感じです。

そう、世界中の木乃伊の中でも、日本の木乃伊が特に好きです。いわゆる即身仏といわれるものですね。最高の技術で作られたエジプト王家のミイラは素晴らしいですし、インカのそれは素朴な雰囲気がいいのですが、自ら望んで木乃伊となった日本の即身仏は、生と死が一体となっている、あるいは連続しているように思えるのです。

この詩に出てくる木乃伊も、イメージ的には日本の即身仏です。
そうそう、ウチの近くの横蔵寺というお寺には即身仏があって、よくお参りに行きますヨ。

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