●一枚10円のフィルターワーク
写真撮影に使用するフィルターってご存知でしょうか。
カメラレンズの前に置いて、通常の撮影では得られないさまざまな効果を得るための特殊加工された平面ガラスのことです。
一口にフィルターといってもさまざまなタイプがありますが、私が子どもの頃には白黒写真がまだ多用されていたため、ある波長の光だけを通したり、ある波長の光だけを取り除いたりするための赤や青の色ガラスフィルターが主流でした。
天体撮影にも、たとえば黄色系のフィルターは月面をシャープに撮影するために使用しますし、赤フィルターは赤い星雲を撮影するために使用します。
惑星の眼視観測でも、火星や木星などの模様を見やすくするために赤や青のフォルターを使用したものでした。
ただ、小学生だった私には、一枚数千円するフィルターはとても買える値段ではありませんでした。
それでもフィルターを使ってみたい。
そんな私が使用したのが工作で使うセロファンでした。
色セロファンをカメラレンズの前、あるいは接眼レンズにシワにならないように貼り付け、天体観測に使ってみたのです。
「そんなアバウトな」と言われそうですが、これがまた予想外の効果を発揮しました。
黄色のセロファンで月を撮ってみれば実にシャープに写りますし、火星の観測でも模様が鮮やかに見えました。
天体だけではありません。
その頃、雲の撮影にも凝っていましたが、ふつうのフィルムで写してみると、雲というものは以外なほどコントラストが低く、肉眼でくっきりと見えていても寝ぼけたようにしか写りません。
で、赤セロファンの登場です。
多少、露出時間は延びますが、これが劇的な効果でした。
入道雲はド迫力で、淡い絹雲はより繊細に描写することができるのです。
本格的なガラスフィルターに比べれば、セロファンの表面精度や透過率は問題にならないほど悪いことは知っていましたが、それでも小学生の私にとってはその効果は十分すぎるものでした。
そうそう、網戸の切れ端をレンズの前に貼ってクロスフィルターとしても使いましたっけ。
お金がないなりに、あの頃はさまざまな工夫をしたものだなあと懐かしく思い出します。
