●現在、茅屋根吹き替え中
藤橋城(西美濃プラネタリウム)に隣接して、地域の萱葺き民家5棟を移築した「藤橋歴史民俗資料館」があります。
この施設の4号棟の茅屋根を、現在、葺き替え中です。古い屋根材をすべて取り払い、ススキ茅で葺き直していくのです。
なかなか見られない光景ですので、入場者の方は、皆さん、興味深そうに見学しています。
かつて農山村では、ほとんどがこうした茅屋根でしたが、今ではそうした昔ながらの民家は、文化財として保存されているもの以外、まったく見ることができなくなってしまいました。
茅屋根なんて雨漏りしそうだし寒そうだし、なんて思ってしまいますが、実のところ、雨漏りなんて全くありませんし、夏は涼しく冬は暖かく、日本の風土にぴったりの家屋です。
屋根の葺き替えにしても、廃材は完全な自然素材、数年すれば土に還ってしまいますし、新しい屋根材料も普通に生えているススキです。国内で一から十まで自給と処分が可能な素材なのです。壁や障子といった屋根以外の部材も同様の自然素材であることはもちろんです。「建築廃材」などといった言葉は、少し前の農山村では存在し得なかったのですね。
若干面倒なのが、常に囲炉裏の火を焚き続けなければならないということでしょうか。煤が付くことによって腐食や虫害を防除するのが茅屋根民家の特徴ですので、これを怠ると、見る間に家が傷んできます。
藤橋歴史民俗資料館でも、できるだけ各棟に火を焚いて部材を燻すように心がけています。
こうして家族で囲炉裏を囲む光景は、恐らく縄文時代から変わらない「イエ」の原型だと思われます。
家族がバラバラに自分の部屋で食事を取るといった現代を象徴する光景と、煤まみれになりながらも、ひとつの囲炉裏を囲んで団欒をしていた光景、どちらが人間らしい姿なのでしょう。
囲炉裏の火を見つめながら、心静かにそんなことを考えてみたいですね。
